岩田 靖 : 1999年1月・宮崎市のカバマダラ 1998年に発生したカバマダラAnosia chrysippusはこの冬どうなるのであろう。1997年に 宮崎市で発生した本種の、その後の1998年1月~2月の状況からすれば、この先目が離せない ところがある。筆者は、宮崎市において冬季の状態を追いかけているが、ここでは1999年1 月に得られたデータについて整理しておく。 確認できたこと、推察されうることをいくつか掲げておきたい。 ・前号の報文には,12月中旬までの成虫の交尾観察データが含まれていた。その後、♀成 虫の産卵行動は1月上旬まで観察された。昨シーズンの筆者の産卵行動の終見は12月6日で あったから、およそ今回の方が遅くまで産卵がみられたということになろう。そこからす れば、おそらく2月頃まで見られる幼虫の個体数は、昨シーズンよりは多くなるのではな いだろうか。 ・前記のデータ内の初齢幼虫の観察・確認例からすれば、1月に入ってから孵化した卵もあ ったのではないかと推察される(矢の先町で1月23日、阿波岐原町でも1月24日まで 初齢幼虫が確認されている)。 ・谷川2丁目で、1998年12月末に確認されていた蛹が、その後、1月5日、6日および24日に、 また矢の先町でも1月30日に成虫が羽化している。宮崎市の1月の気温は総じて温暖な状況 にあったことは確かであるが、3回零下を記録しており(1月1日[-1.1℃]、1月17日 [-1.1℃]、1月22日[-0.3℃]、これくらいの冷え込みには蛹は耐えうることだけは判明 した。本種には休眠性がないことから、条件さえ整えば、冬場でも羽化が進行してしまう のである。野外の自然状態での蛹の発見率が悪いので、多くの情報が集めにくいのが難点。 また、前蛹になった幼虫がどの程度まで正常な蛹になり得るのかが大きな関門であろう。 岩田 靖 : 宮崎県南の蝶類分布調査ノート(163) 東諸県郡高岡町(その6) 岩田 靖 : 宮崎県南の蝶類分布調査ノート(164) 東諸県郡国富町(その13) 岩田 靖 : 宮崎県南の蝶類分布調査ノート(165) 宮崎市(その14) |